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風の便り

船造りの合間に見た事、聞いた事、思った事

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メンテナンス(1)

よくヨットの寿命は何年位?と聞かれることがある。大ざっぱにいって、FRP艇なら50年、木造艇ならそれ以上堪えるが、実際の所、素性が良く、手入れが行き届いている艇なら、この数字はあながち不思議ではない。

現在工場の片隅でオリンピック6mクラスのメンテナンスを三河造船の山路さんが担当しているが、この艇の船齢は84年である。

フネを長く良い状態に保つにはそれなりのメンテナンスが必要となる。この船齢84年のヨットは、外板にマホガニーを使っているが、恐らく腐食し始めたであろう部分を丁寧に切り取り、同じ材で修復している個所が数多く見られる。

デッキはシトカスプルース張り、ニス塗できれいな状態を維持していたが、下地に合板を使っていたため(当初は単材だと思うが)、バラしてみるとビーム材まで腐りが進んでいる個所が多く見られた。オーナーの決断で、ビームを全て取り壊し、新しい桧材に造り変えているが、要所々にアリを使った木組みは、この艇の素性の良さを物語っている。

一般的に日本で普及しているヨットの九十数%は船体がFRPであり、化学物質から構成されるこれらの艇体には事故破損の時以外部分修正を施すことはまずしない。全体的に弾力が落ちて来た艇は、寿命を考え、廃棄するのが普通であろう。
それが三十年~五十年という数字である。

FRPのへたりは、ほとんどが紫外線とか風雨によるものである。デッキは特に痛みやすいが、飛んだり跳ねたりをくり返せば、サンドイッチの芯材がはがれたりするのも当然である。特に軽く造ることが命題であったレース艇は、カーボン、ケブラー等の高強度繊維に特殊樹脂を使い、芯材には、ディビニセル等の特殊泡材或いはハニカムコアーを使用し、バキュームバックで圧着する方法を用いていたが、経年変化での剥離は防げなかったようだ。

それにしても船用材としてのFRPは、メンテナンスの容易さ、製作日数の短縮によるコストパフォーマンス等で、ヨットの普及には、どれだけの貢献をしたか計り知れないものがある。(続く)
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  1. 2008/12/10(水) 13:07:03|
  2. メンテナンス
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メンテナンス(2)

この世の中で、人の手を煩わし、新しく生れてきたモノには、凡く、"永遠"という字句はなじまない。

5千年も前に造られたあのピラミッドですら、自然の中に長くさらされている間に風化する。そして最後は砂と化す。まして、最近人の手によって作られた構築物や航空機、車、船、等の寿命は、驚くほど短い。

もちろん、経済的論理からすれば、耐久消費財といわれるものであっても、買い替えあるいは、作り替えのスパンがあまりに長くなりすぎると、永続的な商売が成り立たないという理屈もある。

車の世界で、ビンテージカーと云うと、古き良き時代のポルシェや、GT-R等の名車を思い出す人も多いと思う。

もともとVintageという言葉は、"ぶどうを収穫する"という意味のラテン語から来ていて、"年代物の逸品"を表す言葉ではないが、ヴィンテージワインと言えば高級ワインを意味し、現在では10年前に作られた名品、一級品を示す用語だと、モノの本に書いてある。

ヴィンテージとされる主な製品として、かの有名なストラディバリウスといったヴァイオリンや、リーバイス501(ジーンズ)、レスポール(ギター)トヨタ2000GTとかがあげられているが、はたしてヨットではどうなのだろうか。

先に修理中ということで紹介した84年前の木造6mクラスは、正にこの範疇に入るのではないかと思うし、最近マスコミを賑わせている間寛平氏の使用するヨット"ブリストル チャンネル カッター"も恐らく同種と感じている。

モノを作る人間にとって、自分の手がけた作品が後世においてこのような評価が下されたら、これ以上の喜びはない。

さて、本題に戻るが、自分の所有するヨットが、ヴィンテージとなるかどうかは、素性の良さと同時に、メンテナンスの施され方によって決まってくる。

いわゆる量産品は、如何に最良の手を加えても、ヴィンテージと呼ばれるには、ほど遠い感じがするが、車社会にそれが存在するということは、ボート・ヨットの世界にあっても不思議ではない。

ただし、長い間風化するに任せたような代物は、いくら素性が良くても、復元するには気の遠くなるような時間と手間が必要となり、大半はゴミとしてこの世から消えうせる運命にあるのかもしれない。
(続く)
  1. 2008/12/24(水) 18:38:22|
  2. メンテナンス
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